Johnnyさんが私の中で眠っていた'げーじつ'魂を揺さぶり起こしてしまい、おかげでバンクーバー以降厄介な日々を過ごさせて頂いてます。。先日見た映画「あの日、欲望の大地で」<The Burning Plain>への讃歌もどうしても残しておきたくなりました。
この映画、ラストで一気に盛り上がり、そして・・・来ましたー!(ニコニコ動画のコメントじゃないけど)。BRAVOです!!スタンディングです。
これはジョニー級じゃないでしょうか。メダルはとれないけど、別次元のパフォーマンスと言いましょうか。コンポーネントスコアはーーやはりジャッジの主観も大きく働きそうな、そんな映画だと思います。あ、でも早々<ジョニー、BRAVO賞>を差し上げてしまっては後が続かないので、部分的に、として<ラスト10分、ジョニー賞>です。気に入りました。
ラストのあの感動をもう一度味わいたいと思って、映画関連サイトに投稿されているレビューを読みに行きました。もちろん素晴らしいレビューもいろいろ目にしましたが、はっきり言って「青い」感想も多かった。これは「おとな」の映画なんです、お子様には語れないと思います。シャーリーズ・セロンがキレイなのは当たり前!そこで私めが、感動冷めぬうちにここに「讃歌」を残さねばと思いたちました。「ジョニー讃歌」のきっかけ同様、突き動かされるまま、人知れずここに記しております。
この映画にもアメリカのファミリー像を見ることができましたが、この映画に流れる暗い調子が現実感覚をあと押していると思います。米国内陸部の田舎町の閉塞感、乾燥感が醸し出されています。脚本・監督のアリアガは、「映像美に寄るよりも人間を大事に撮ることを重視した」と言っています。なるほど。でも実際、さりげなくも映像美ありで、この映画の完成度に如何に自信があるかが伺われます。(ちなみにこのおっさんぽい監督も歯に衣着せぬタイプかと察しました、それには理由がありますがまた別の機会に。)
このラストに感動をもたらしたもの、・・・そのひとつは、まだ若い10代の新人女優(ジェニファー・ローレンス)の演技だと思います。スクリーンに出てきた瞬間「なんかやってくれる」と予感させる非情の表情。彼女をクール・ビューティーというのかどうかわかりませんが。
ん、クール・ビューティーと言えば、昔見た「暗殺の森」のドミニク・サンダ。雰囲気似てる~、この目つき!こういう目の坐ったお姉さまに睨まれるとゾクっとしちゃいますわね。
新人ジェニファー・ロペス |
暗殺の森 |
この映画、時間軸を頻繁に変化させながらも、漂うは変りなく暗いムード。・・・いったいどう落とし前をつけるのか、と無意識ながら感じ始めていたところ、来たーっ、このラスト!(またニコニコ風)戦慄を覚える演技・表情。出ました、ジョニーAngelに続く鳥肌!この演技はもはやフィクションを超えていまつ・・・(2ちゃんねる風)。おそろしいゾクゾクの瞬間を共に体感させて頂きました(・・;)。おぞらく私は次にハートロッカーを見に行くことになるのでしょう。このプチ・トラウマを拭うために・・・、更に「カタルシス」を求めて。。
話は飛びますが、この「カタルシス」という言葉、初めて使ってみました。以前、好きな映画を聞かれて五つくらい挙げたら、「Ethieはカタルシスをおす(押す?推す?)作風が好きですね」と言われました。その時はあまりピンとこず、理解できなかったけれど、今この言葉を思い出したので意味を確認してみると、この映画にしっくり、ピッタリきます。
カタルシス(Katharsis):
悲劇を見て涙を流したり恐怖を味わったりすることで心の中のしこりを浄化するという意味。アリストテレスは悲劇の目的をパトス(苦しみの感情)の浄化にあるとした。
精神分析用語としては抑圧されて無意識の中に留っていた精神的外傷によるしこりを言語・行為または常道として外部に表出させようとする精神療法の浄化法。
俗に音楽や文学、演劇などの連続性のある芸術作品において、あるポイントを境にそれまで準備され蓄積されてきた伏線や地道な表現が一気に快い感覚に昇華しだす状態や、またその快い感覚のことを正式用法の「抑圧からの解放」になぞらえてカタルシスと表現することも多い
さても、この新人女優、やっぱりスゴかったみたいで、オーディションからスタッフが感涙させられたそうです。「奇跡の表情」だそうです。まったく納得です!もちろんシャーリーズ・セロンやキムベイシンガーもそれぞれに光っていましたが、この新人さん、この作品に計り知れない貢献をしていると思います。マイナーな配給会社だったこともあり、目立たない映画なのに、この子だけがヴェネチア国際映画祭で賞を(新人賞)をとったそうですよ。また、そういう少しマイナーな映画に<志願>するシャーリーズ・セロンもさすがですよね。
そしてこのラストのクライマックスを感涙へと導いたもの、何といっても私が強調したいもの、それは「音楽」なんです。なんといいますか、感情の波、涙腺の波、感涙の波が押し寄せるように、畳みかけるように迫ってくるメロディーラインなのです。シンプルなんですが、感涙を誘うように<仕掛けられて>いるんです。この映画のTrailerの後半部分で聞けます。
Johnnyさんが演技で使った「Fallen Angel」の泣きの<琴線>メロディーもそうで、涙腺を全開させられそうになったのを憶えています。
そしてこの曲、私の例えはいまひとつかもしれませんが、Eaglesの「Hotel California」と同じ虚無感・乾燥感をメロディーの中に感じました。乾燥した空気の中、シャーリーズ・セロンが「この感情はどうしても止まらないのよ」と訴えかけてくるのです。
「 あの日、欲望の大地で」というこの邦語タイトルは、キャッチーで響きもよく、戦略的にイケてると思います。でも「母から子へ、宿命は時を超えて」「苦い涙は輝くほほえみに」などのキャッチフレーズは、大反対はしないけど、ちょっと。。。辛い過去や大きなトラウマという大テーマなのに、女性の部分にクローズアップさせすぎていて、普遍性が消えてしまい、安っぽさとアクのようなものが出てるように感じます。私も鳥肌は立たせたいのですが、この誇張感にはあぶら汗もかきそうです。かといって私もどんなキャッチフレーズがいいのかちょっと出てこないのですが。。無責任でした。
「苦い涙は輝くほほえみに」はやはりちょっとお気楽かも。このラストを見て、これから元の鞘に戻って女性として母として幸せにやっていけるか、ということにまで考えが及ぶ人、そんなに多いのかしら?私の場合はその手前で思考が止まってしまいました。
彼の前で「私が私たちの両親を殺したのよ」と心のしこりを偶然にも告白でき、入院中の彼も幸運にも足を切断しなくて済んだ、という状況に転じたエンディング部分・・・疑い深い私もわざとらしさを感じることなく心に入ってきました。では深刻なトラウマが少しは癒されたか?彼女に決定的な瞬間を与えることができたか?!・・・そしてセロンが彼の病室へ走る・・・ここでスパッと映像が途切れ、クレジットと共にまたあの感情の波が押し寄せるエンディングテーマ曲が流れてきました。
映画City of angelsの「Fallen Angel」をはじめ、このところのアメリカ映画の挿入音楽には素晴らしいものがあると思いませんか?そこで私、またまた調べてみました。実は作曲家はそれぞれドイツ、ポーランド出身者なんです。(←※後日調べではこれ間違い;soundtrack by Gabriel Yared及びNocturne from "The Lady Caliph" by Ennio Morricone:イタリア出身、の合体が「Fallen Angel」の実体でした)やはり叙情のヨーロッパ系、。でも頭脳流出!スケート界だけでなくもしかしたら音楽の未来も?それにしても天才かと思える人って世界にたくさんいるんですねー。いかにも子供みたいな発言ですが。私は何しろDebutanteなので。
ジョニーさんも天使でなければ天才。。か、宇宙人?。。。宇宙人と契約したロシア人とか(笑)。
以上の流れにより、ラストシーンで私の涙はちょちょぎれ泣きから一気に嗚咽泣き(ウエッ、ヒックッ)に。号泣(グオー)に入りそうな勢いもあったのですが、クレジットも終わり、場内はもはや明るくなっており、ここで泣いていたのでは、「この人昔、女としてこういう辛い経験をしてトラウマがあるのかしら」と思われたらイヤだわ、とハタと気づき、気持ちを入れ替え、血走る眼を抑えておきました。
それにしても同じ列の二人組のおっさんら、初めからうるさかったけど、しまいには「外人さんは複雑やのぅ~」ってはっきり聞こえてくるしー。でも、許しましょう、このイノセントな発言ゆえ、私の感動もいっそう高まったのですから。
大作、御苦労さま~。←自分に向けて。ジョニー讃歌以外でこうまでして讃歌を書くとはね。さぁスポーツクラブで健康的に汗をかいてこよう!
おめでとう、ジェニファー |
あら、男装のサンダ |