Tuesday, March 9, 2010

バンクーバー「Fallen Angel」との勝手な対話①

<Hymne au ange, Johnny Weir>
2月、初めてフリープログラムを見たときの新鮮な感動を書こうと思ったけど、やっぱりムリ。映像が必要。
そこで、おかげ様、米国のジョニーのファンクラブのサイトから入手できた!オリンピック映像はYoutubeでは利権関係でリジェクトになるけど、探せばどこかにあるものなんですね。

フリープログラム・・・ショートプログラムから打って変わって、コスチュームはシンプルでエレガントに。一見してエンジェルか白鳥あたりがテーマであることが見て取れる。このコスチュームのWeirは、SPのときより落ち着いて見ることができる。こっちも演技の鑑賞に集中できるというものです。先々日のWeirは、どしろうとの私には刺激が強すぎた。

「この間のオネエオーラを振りまく人が出てきたよ」声掛けしてうちのママと一緒に鑑賞。氷上へと勇み出た彼は今度もまた左腕を力強く縦にストレッチして気合を入れた。この力強さはオネエのしぐさらしからぬ。。この間のキスポーズはちょっとした演出?悪ふざけ(オリンピックという大舞台なのに)?

・・・はじまる。この天使な表情。天国を思わせるコーラスが氷上に響く。滑らかな肩のライン。そして、今日も魅せてくれるウェストとおしりのライン。女性でもマネのできないフェミニンで繊細な手の運び。
彼の演技の素晴らしさは開始後ほんの数秒で予感できた。

早くもすでに私の感情はいっぱいいっぱいに。おそらく頬は紅潮し、鳥肌寸前のはず。隣にいるママに悟られまいとして画面しか見ないわたし。わたしの右脳がそろそろヤバイよというサインを送りつけている。左脳も右脳をジャッジして、仕方ない、遠慮なく至高のかなたへ、さあどうぞと。。(彼自身による後のインタビューで、これが「皆で一緒にでかける旅」、同じ時を過ごすことを意味しているのだと知る)

思い出した。米国にスゴい選手がいるという話題を数年前に聞いたことがあった!4年前のトリノ五輪のときは、でも、私は北アフリカのとある国でボランティアをしていて、全然見れなかったんだ。そう、彼のことだったのかも。

しなやかでスローな動きの中に、時折見せる素早い振りにあざやかなlivelyさがあり、それが余計ノーブルさを高めているような。このプログラムの繊細さは、ジャンプに力を込めただけでさえblatantに見えさせる。。というかしなやかな動きとジャンプの時の力の込もった男らしさとのギャップに、なんというか匂い立つような<妖しさ>を感じてしまいました、きゃーっ。
NBCの解説者は「さあジャンプ、HIghtがある」って飛ぶ瞬間前から口にでちゃって、讃えまくっている。興奮状態も露わ。(※しかし実際は、3アクセルなど、US Championshipの方がよいできだったように感じたのですが・・)

~流れる曲がまた、スバラシい。こんなに展開の美しくも激しいドラマティックな曲あったんだ(※二曲合体させたものであると後日知りました)。解説者が教えてくれる~テーマ曲は映画「City of Angels」より「Fallen Angel」・・・はっ、さっきから天使の矢が何本も打ち込まれてるっていうわけですね。どうりで胸が苦しい。。それにしてもその映画、「Nicolas Cageが天使??んーっ」っていう批評を聞いていたため、自然にマイ・リストからはじいてたけど。でも絶対見たくなるだろうなー。

この演技、これって全て、仕込まれているーーいい意味でヤリすぎよー。too Gay はショート。フリーはtoo Angelということか!彼は氷上の天使。私は絵にかいたような乗せられオーディエンスです、はい。この観客を惑わすトータル・コーディネート、一体だれが発明したんだ、と気になったら、解説者が「それはジョニーです」と言うがごとく解説してくれた;トリノ五輪以降の、彼のある意味「堕ちた」日々をこの曲になぞらえたそうです。それは日本の高橋選手の「道」の選曲の仕方と重なって、日本人の私にとってはまさに奇跡の仕掛けコーディネート戦術です!

あぁ、泣きのメロディーが流れてくる・・・「泣き」を利用しないで~!こっちはもうヤラレっぱなしなんだから。ヘナヘナ~。でもWeirの背筋ののびやかな後ろ姿が、魅せ魅せヒップラインが、空に伸びる指先が、益々私たちの心を揺さぶる。揺さぶると言えば、Rock the tassel!乗せられEthie(私)はうっすら涙、もう来てます。。この美しい青年は一体これからどんな人生を送るのでしょうか。日本の歌舞伎のおやまと同じ。人生経験を重ね、人間の心のヒダのひとつひとつを体験してきた熟女のおばちゃま方は、大好きなはず。(うちのママさんもジョニさんのファンになりました)

それにしても彼の動きは<完全に>音楽とシンクロしています。寸分たがわず。スケートのエッジの音かと思ったら音楽の、ドラムをフェザーで叩いたような(・・?)シュッとした音が、エッジストップした時、同時に聞こえてまるで効果音のようです。彼は完全に音楽に溶け込み、一体化しています。あ、ちょっとつまずいたみたいだけど、次のフリの静止の時上手にカバー出来てるように、私には見えます。ごまかし方にも「美」が必要ですわね~(※しかしガリーナ監督はカンカンに怒っていた)。

先日のショートプログラムもやっぱり素晴らしかった、でもtoo Gayショックのあまり、実はあまり覚えていない。でもフリープログラムはこの通り大丈夫。味わっています。2010年、Weirとの初めての出会いを覚えていない、「Ilove you ~」も{Falling~」も両方、と言ったのではあまりにマヌケな話ですもん。

おーっ、音楽は落雷の音が鳴り響きだしました。ここからがまた新たな見せ場となるのでしょう!天使の矢が刺さったままの私のハートに、落雷音でさらにまた矢が飛んできました。激しくも悩ましいステップが始まり、思わずこっちも呼吸するのを忘れてる。酸欠で陶酔効果が高まるのかもしれません(笑)彼のステップ素晴らしい。それにしても見せ場が最後というのは選手が疲れてくるので酷だけど、そのサドマゾ的なしくみによって私たちは演技者の奥に控える真の姿を垣間見ることができるのかもしれません。

そして・・・!ラストの時を迎え、回転しています。彼の得意技でしょうか、早く、低く回っています。音楽とちょうどいい具合にシンクロし、例ののけぞりのポーズでフィニッシュです。完璧から0.1秒くらい遅れて却って感動的です。
NBCの解説者がわーわーと、やったー!と叫び、感激を抑えきれないWeirの様子をドラマティックに盛り上げます。さすがに米国のアナウンサーは盛り上げ上手です、やりますね!ジョニーは両手に顔をうずめることしばし。そして胸に十字を切り、こぶしでまず自身の胸を、そして氷を強くこづいて"Did IT!"です。それは力強く男らしい喜びの瞬間!。顔を上げて立ち上がると、・・・でも泣いてはいないようです、実に清々しく幸せそうな表情。大観衆を前のした今の場合、感情のコントロールが上手になったこともあるでしょうが、感情は後から来るものでしょうか。私には彼のアグレッシブな一面が感じられました。米国人らしいというのでしょうか--誰よりも"Did IT”を露わにしているのに。日本人なら露わにした分、ちょちょ切れ泣きしそうな気がするんですけど。。(←※しかし後日何かのトークショーで「感激して泣いてしまったよー」、と彼は語っています。キスクラへ進む直前か?フィニッシュの時を意味しているのではない、と思う)。人前で演技をしたことがない私にはわかりませんが、ちょっとジョニさんの気持ちについて行けてないEthieはまだまだこれからです。

NBC解説が続きます。彼はほとんどスケートをやめようとしてたらしい。続ける決心をしたらそこからは全てをスケートに注ぎ込むことにしたんですって・・・にわかファンの私には、これまでWeirの歩んできた様々な苦悩そして華麗な変遷まで知る由もないのですが、解説者お二人さんは、まちがいなく今回のジョニーの演技がこれまでで最高だと、吠えまくりながら支持しています。でも、結果がアンダースコアだとわかると「でもこのプログラム、演技がかなりシンプルじゃないかとみんな口にしてたんですよ(心配してた)」とのこと。。<いったいどっちよ!>それにしてもプログラム自体(コンポーネント?)にもっと得点をあげてもよさそうなものなのに、っていう解説者の意見には、見た人全員同感ですよね。

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